2010年04月28日-1
消費者は「低価格」よりも「信頼・安心」を重視

 リーマンショック以降、日本の消費者は製品・サービスにこだわりはなく、低価格がこだわりのポイントになっているとの一般論がよく聞かれる。果たして、消費者の購買意識の実像はどうなのか。経済産業省がこのほど発表した「消費者の購買に関するニーズの動向調査」では、デフレといわれるが、実際には、日本の消費者は、「低価格」よりも「信頼できる」、「安心できる」への嗜好性が強いことが明らかになった。

 調査結果(有効回答数3000人)によると、消費者のこだわりのポイントは、1、2位が「信頼できる」(60.4%)、「安心できる」(53.6%)で、3位の「低価格」(53.5%)を上回った。これらの非価格要素への「こだわり」は、購買決定力、購買力があるといわれる女性層・高齢者層ほど大きい。なお、「高機能」(38.1%)の優先順位も、「信頼」や「安心」より低く、消費者のこだわりのポイントも大きく変化している。

 また、価格を下げると、消費者は、さらに価格要素を重視するようになり、際限のない価格競争に陥ることが数量的に確認されている。価格を相場平均より2割下げた場合は、消費者の意思決定における価格の重要度がさらに10ポイント上昇することが分かり、どんどん非価格要素の重要度が下がり、価格競争に陥るとの結果が出た。例えば、食品の場合、2割安くすると、価格の重要度が48.9%から59.6%に上昇する。

 現在、お金をかけているものについては、「趣味」(35.6%)、「ふだんの食事」(30.7%)、「旅行」(28.5%)、「外食」(25.6%)と続き、「貯金」(19.7%)は5位に過ぎない。このように、お金の使い道について、消費者は、消費をしたくないわけではない。しかし、在来の典型的商品支出ではなく、「趣味」、「食事」、「旅行」、「本・雑誌」といった生活を楽しむものにお金を使いたいという傾向が顕著となっている。

 消費者が重視する企業のサービスについては、ものづくりとは言っても、消費者は、「連絡すると、修理・交換・設置に来てくれる」、「お客様電話相談窓口の常設」といったサービスを重視している。特に、女性、中・高齢層、子育て世代にサービス提供のニーズが高くなっており、ここに非価格競争の余地がある。また、分厚い取扱説明書と設置・操作が複雑な商品への不満感を解消する製品開発に機会があるとみられている。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20100421002/20100421002-2.pdf

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