2010年04月22日-4
前年度比6.5%の減少に転じた09年度建築業者の倒産

 2009年度(09・4~10・3)の建設業者の倒産(法的整理のみ、負債1000万円以上)は3325件発生し、前年度比6.5%の減少となったことが、帝国データバンクがこのほど発表した「建設業者の倒産動向調査」結果で分かった。建設業者の倒産は、2006年度から3年連続で前年度を上回っていたが、2009年度は状況が一変。2009年度当初予算に盛り込まれた公共事業の前倒し執行などの政策効果から、減少に転じた。

 倒産件数は2009年7月から2010年2月まで8ヵ月連続で前年同月を下回った。一方、公共工事(請負金額)の月別増減率は、倒産が減少に転じた2009年3月から増加を続けており、公共工事の前倒し執行が建設業の倒産減に一定の効果を上げたことを裏付けている。しかし、2010年に入り1、2月の公共工事減少を受け、3月の倒産は9ヵ月ぶりに増加に転じており、4月以降の反動増が懸念されている。

 地域別にみると、9地域中、関東、中部を除く7地域で前年度を下回った。減少率トップは「北海道」の前年度比▲34.2%、次いで「中国」(同▲29.4%)、「東北」(同▲29.1%)、「九州」(同▲27.9%)、「四国」(同▲21.9%)の順となり、5地域で20%超の大幅減少となった。一方、関東、中部は、他地域に比べて公共工事前倒し執行の効果が少なく、景気低迷による民間工事の減少が響き、倒産件数が増加したものとみられている。

 業態別にみると、「建築工事」が793件でトップ。構成比は23.8%となり、全体の4社に1社を占めた。次いで「土木工事」が705件(構成比21.2%)発生しており、建築・土木両工事の専業業者だけで全体の半数近くを占めた。各業態で減少が目立つ中、減少率トップは「土木建築工事」の前年度比41.2%の大幅減少。2位の「土木工事」(同▲20.3%)とともに、公共工事の前倒し執行の恩恵もあり、減少幅が大きかった。

 負債規模別にみると、「5000万円未満」が1363件(構成比41.0%)でトップ、以下、「1~5億円未満」の1034件(同31.3%)、「5000万円~1億円未満」の641件(同19.3%)が続いた。このように、全体の4割が負債5000万円未満の零細業者。増減率でみても、各負債規模が軒並み大幅減少となる中、「5000万円未満」が前年度比9.7%増と唯一の増加となった。他方、「100億円以上」(3件)は前年度比84.2%の大幅減少となった。

 同倒産動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100402.pdf

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