2010年04月21日-1
8割超の企業がデフレは「悪影響」と回答

 信金中央金庫が3月に実施した「デフレ不況下の中小企業経営」と題した特別調査結果(有効回答数1万3608社)によると、デフレ進展による企業経営への影響については、「悪影響ばかり」が21.8%、「悪影響のほうが多い」が59.2%と、8年前に実施した前回調査(2002年1~3月期)に引き続き、合わせて8割超の企業から、「悪影響」との回答を得た。地域や従業員規模、業種にかかわらずデフレについては悪影響が多いとの認識が強い。

 デフレ進展によるマイナス面の影響(3つまで回答)としては、「他社との価格競争の激化」が59.5%と、前回調査(58.7%)に引き続いてトップとなった。以下、「販売価格・受注単価の引下げ要求」(45.3%)、「消費マインドの低迷」(31.5%)と続いた。前回調査と比べると、「社会の不安定化」が28.5%から21.0%に、「資金調達難」が12.4%から4.4%にそれぞれ大きく減少した。

 デフレ不況下の経営方針(3つまで回答)は、「仕入原価の削減」が39.5%と、前回調査(42.1%)に引き続きトップ、以下、「高付加価値化で差別化を図る」(34.5%)、「販売価格・受注単価を引き下げる」(28.7%)が続いた。前回調査で2位だった「従業員数や賃金の見直し」は、今回は全業種で減少した結果、10.1ポイント低下し4位(25.3%)に後退。労働力の調整が進み、多くの企業で削減余力がなくなっている様子がみてとれる。

 政府がとるべきデフレ対策(3つまで回答)としては、1位に「所得税・法人税などの税制改革」(42.4%)、2位に「信用保証条件緩和等の金融対策」(37.6%)となり、前回とは1位と2位が入れ替わった。前回から6.7ポイント低下した「信用保証条件緩和等の金融対策」については、「200人以上」を除くすべての階層で減少した。これまでの回答と併せ、2002年時点と比較して、資金繰りに困る企業は減少しているといえる。

 デフレ不況から回復するきっかけとして期待するものについては、「政府による何らかの需要刺激策」が66.0%と、2位の「海外の回復・成長」(25.5%)以下に倍以上の差をつけた。地域別、従業員規模別、業種別のすべての階層でトップとなっており、政府による需要刺激策を強く求めている傾向がうかがえる。3位に入った「当面は回復しない」(18.3%)は、特に小規模企業での回答率が高く、規模が小さい企業ほど悲観的になっている。

 同特別調査結果の詳細は(中小企業景況レポートから)↓
 http://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/scb79h22M139.pdf

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