2010年04月15日-4
施行10年間の民事再生法、再上場はわずか1社

 2004年4月1日に民事再生法が施行されてから10年が経過した。民事再生法は、当時の和議法に代わるものとして、債務超過前でも申請できるなど、破綻企業がより再建を目指しやすいようにスタートした。その後は企業規模の大小、業種を問わず申請事例が相次ぎ、今では再建型法的整理手続きの95%を占めるまでに定着したが、同法を申請した企業がすべて“再生”したわけではなく、道半ばで破産に移行するケースも後を絶たない。

 帝国データバンクがこのほど発表した「民事再生法施行10年間の申請動向調査」結果によると、民事再生法の申請は、2010年3月までの10年間の累計で7754件に達した。このうち上場企業は累計103社にのぼるが、後に再上場を果たした企業は、配電盤・分電盤メーカーの「かわでん(旧川﨑電気)」のわずか1社にとどまる。事業再建の道は険しく、再生の成否を判断する一つの指標となる再上場は“狭き門”であることが分かった。

 一方、上場企業103社のうち、民事再生法申請後、破産に移行した企業は「SFCG」(2009年2月申請、東証1部)など9社だった。先行き見通し難から事業継続を断念する事例が大半を占めるが、「第一家庭電器」(2002年4月申請、東証1部)や「日立精機」(2002年8月申請、東証ほか1部)などのように、一部の店舗や事業を別会社に譲渡した後、旧会社を破産処理するケースも散見された。

 過去10年間の再生手続きの経過状況をみると、民事再生法を申請した7754件のうち、再生計画の認可決定を受けたものが5394件判明し、全体の69.6%に達した。このうち、裁判所から終結決定が下りたものは3365件あり、全体の43.4%がすでに手続きを終えている。 他方、認可決定前に取下げ、棄却・廃止となった企業が1168件あるほか、認可決定後、終結決定前に手続き廃止となった企業が579件あった。

 少なくともこれらの1747件(構成比22.5%)、全体の約4社に1社は、再建途上で事業継続を断念しており、大半がすでに破産手続きに移行している。また、監査委員が選任される多くの通常事件では、認可決定から3年が経過すると、債務弁済の途中でも裁判所から終結決定がほぼ自動的に下りる運用となっている。このため、終結後、数年内に経営に行き詰まり、「再倒産」に至るケースも散見されるという。

 同動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100401.pdf

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