2010年04月12日-4
09年度企業倒産、集計基準変更後初の前年度比減少

 帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、2009年度(09年4月~10年3月)の倒産件数は1万2866件で、前年度を2.8%下回り、2005年4月に集計基準を法的整理のみに変更した後、初の前年度比減少となった。年度前半は増加が続き、6月は集計基準変更後最多の1294件を記録したが、9月以降は7ヵ月連続で前年同月を下回るなど、年度後半は減少に転じた。

 減少に転じた主な要因は、(1)緊急保証制度や中小企業金融円滑化法による資金繰り破たんの回避、(2)公共事業執行前倒しによる建設業倒産の減少、(3)エコカー減税やエコポイント制度による卸売、小売業倒産の抑制などがある。特に建設業の倒産は、前年度比6.5%減少の3325件となった。公共工事の前倒し執行の効果が浸透し、公共工事への依存度が高い地方圏で大幅に減少した。

 一方、負債総額も7兆214億6100万円に減少し、前年度比48.6%減とほぼ半減して、3年ぶりの前年度割れとなった。1月の(株)日本航空などJALグループ3社だけで2兆3221億8100万円に達したが、大型倒産が多発した2008年度から一転、沈静化が続いた。企業再生支援機構や事業再生ADR等の新たな私的整理手法が定着し、大手・中堅問題企業が法的整理を回避したことも影響した。

 負債額別にみると、負債100億円以上の大型倒産は58件にとどまり、前年度比57.0%の大幅減少となった。資本金別でも、資本金1億円以上の倒産が289件と、前年度を31.4%下回るなど、大型倒産の減少が目立った。ただ、負債5000万円未満の零細企業の倒産は5739件と、前年度を6.7%上回り、負債額別で唯一の増加となった。中堅・大企業に比べて中小企業の業績は依然厳しく、企業規模による格差が鮮明となっている。

 2009年度の全国企業倒産状況の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/tosan/syukei/09nendo.html

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