2010年04月12日-3
経営面においてデフレの「悪影響がある」企業が9割

 大阪市信用金庫が大阪府下一円の取引先企業を対象に3月中旬に実施した「中小企業におけるデフレの影響と対策等に関する調査」結果(有効回答数1326社)によると、自社の売上や収益など実際の経営面において、デフレの「悪影響がある」と回答した企業は89.8%とほぼ9割にのぼった。一方、「特に影響はない」は10.0%にとどまり、「好影響がある」とする企業は0.2%と皆無に近い。

 わが国経済におけるデフレの原因(複数回答)については、「グローバル化による外国製品等との価格競争激化」と答えた企業が53.6%で最多、また、「企業マインドや消費マインドの萎縮」が46.6%と5割に近く、「有力企業による行き過ぎた低コスト・低価格化戦略」も44.6%。以下、「若年層縮小、低所得層拡大等による需要低下」が36.6%、「通販・インターネット販売等による流通革命」が17.7%などとなっている。

 消費者物価は2008年10月ころから低下傾向にあるが、ここ2年程度の間の自社の製(商)品・サービスの価格変更の実施状況は、「引き下げた」とする企業が67.1%と7割近い。一方、「ほとんど変わらない」が32.1%で、「引き上げた」は0.8%と皆無に近い。業種別にみると、「引き下げた」企業は、「建設業」(71.4%)、「運輸業」(70.3%)、「製造業」(70.1%)などが7割を超えるのに対し、「小売業」は44.0%と格段に少なくなっている。

 デフレ経済下での自社の収益や競争力の確保策(複数回答)は、「魅力ある製(商)品・サービスの開発・取り揃え」と答えた企業が62.7%でもっとも多く、次いで「販売力の強化」が59.7%で、この2つが他に抜きん出て多くなっている。以下、「他社との連携・協力強化」が23.3%など。「他社に勝る低価格設定」は15.0%にとどまり、多くの経営者は価格面以外の対策で収益や競争力の確保を模索していることが分かる。

 なお、現在の深刻なデフレが終息する時期の見通しについては、デフレの短期終息を見通す「1年程度」と答えた企業は9.5%と1割にも満たない。これに対し、「2年程度」とする企業が32.2%で、「3年以上」と答えた企業は58.3%とほぼ6割に及んでいる。このように、デフレは今後、さらに長期化するものと覚悟を決めている企業が圧倒的に多い。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.osaka-shishin.co.jp/houjin/keiei/pdf/2010/2010-04-07.pdf

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