2010年04月08日-3
10年度業績見通し、「増収増益」を見込む企業が倍増

 国内景気は中国など外需の増加に内需の底上げが加わったことで、一部大手では業績の回復が現れ始めている。一方、多くの企業では依然として厳しい状況が続き、家計の生活防衛意識も根強く、企業の業績動向が注目される。こうしたなか、帝国データバンクが実施した「2010年度の業績見通しに関する企業の意識調査」では、2010年度の業績見通しは「増収増益」を見込む企業が前年から倍増したことが分かった。

 調査結果(有効回答数1万870社)によると、2010年度の業績見通し(売上及び経常利益ベース)は、「増収増益(見込み含む)」と回答した企業が全体の26.2%となり、2009年度調査の13.1%と比べると2倍に拡大した。一方、「減収減益(見込み含む)」は25.5%と、2009年度の45.0%から19.5ポイント減少した。企業業績が前年度より改善すると見込む企業は、1年前と比べ大幅に増加している。

 「増収増益」と回答した企業を業界別にみると、電気機械などを中心に「製造」が30.1%で最多となったほか、「金融」(28.8%)が3割近くに達しており、世界金融危機や世界同時不況が直撃した業界で業績回復を見込む企業が多い。また、「サービス」(28.3%)や「不動産」(27.7%)が高かった一方、「建設」(14.9%)は1割台となっており、内需型産業の間でも業績にばらつきがみられた。

 2009年度の業績を「増収増益」とした企業(1408社)のうち、2010年度も「増収増益」を見込む企業は44.8%。また、「減収減益」だった企業(4845社)のうち、24.6%が2010年度には「増収増益」に転じると見込む。しかし、全体でみると2年連続で「減収減益」を見込む企業は15.6%であり、2年連続で「増収増益」を見込む企業の5.9%を9.7ポイント上回るなど、経営環境の改善がみられるなかでも業績の二極化が表れている。

 2010年度の業績を上振れさせる好材料(複数回答)は、「外需(中国経済の成長持続)」が34.5%、「外需(米国経済の回復)」が28.8%と続き、中国や米国など海外需要の回復を期待する企業が多い。一方、下振れさせる悪材料(複数回答)では、「個人消費の一段の低迷」が52.9%を占め、国内需要の最大項目である消費が低迷することを最大の懸念材料として挙げている。以下、「所得の減少」(41.6%)、「デフレの進行」(40.1%)などが続く。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1003.pdf

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