2010年04月01日-3
大病院と中堅病院との収入傾向二極化が顕著に

 近年における病院の経営環境は、2007年の倒産急増のほか、医師不足や患者の選択意識の高まり(大病院への集中)、診療報酬の改定(引下げ)などから厳しさが続いている。帝国データバンクが、全国の年収入高30億円以上(原則2008年度の最新期決算)の803の病院経営事業者を対象に実施した「全国主要病院経営実態調査」結果によると、大病院と中堅病院との収入傾向の二極化が顕著となった。

 803事業者の年収入高推移をみると、最新期決算の年収入が前期比増となったのは530事業者(構成比66.0%)で、うち418事業者(同52.1%)が前々期から2期連続増収。一方、年収入高が前年比減となったのは273事業者、うち84事業者が前々期から2期連続減収となった。年収入高別の動向をみると、規模の大きい階層ほど全事業者数に占める増収事業者の構成比が高く、逆に規模の小さい階層ほど減収事業者の構成比が高くなっている。

 また、803事業者のうち、最新期決算、前期決算、前々期決算の最終利益が判明した547事業者の収益動向をみると、「最新期決算が黒字」となったのは407事業者(構成比74.4%)で、うち345事業者(同63.1%)が「2期連続黒字」、さらにうち301事業者(同55.0%)が「3期連続黒字」となった。年収入高別の動向をみると、「100億~300億円未満」における安定経営事業者の構成比(39.6%にとどまる3期連続黒字)の低さが目立った。

 地域別でみると、最新期決算の年収高が前期比増となった事業者数構成比(全国平均66.0%)のトップは「四国」(79.3%)、また前々期から2期連続で増収となった事業者数構成比でも「四国」(62.1%)がトップ。一方、最新期決算の年収入高が前期比減となった事業者数構成比(全国平均34.0%)のトップは「中国」(46.8%)、また前々期から2期連続で減収となった事業者数構成比のトップは「関東」(18.5%)となった。

 2期連続減収の事業所の構成比をみると、中部以東と近畿以西で大きな差があり、西日本エリアよりも東日本エリア事業者の低迷が目立っている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100305.pdf

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