2010年03月29日-3
中小企業における業況別の経営特性等~大阪市信金

 大阪市信用金庫が大阪府下一円の企業を対象に2月中旬に実施した「中小企業における業況別の経営特性等に関する調査」結果(有効回答数1336社)によると、自社の経営について「堅調を維持」と答えた企業が65.1%あり、そのうち「好調である」とする企業が7.0%、「不調といわざるを得ない」が34.9%だった。戦後最悪とされる経済情勢にあって、特に中小企業の困窮振りが取りざたされるが、「堅調」とする企業は以外に多い。

 自社でこれまでに「事業変革」といえるような思い切った経営施策を実施したことがあるかどうかを聞いたところ、「実施した」と答えた企業は44.7%だった。業況別にみると、「実施した」とする企業は、堅調企業では48.2%とほぼ5割あるが、そのうち、好調企業では57.4%と6割近くに及ぶ。これに対して、不調企業では38.2%にとどまり、堅調企業より10ポイント、好調企業より20ポイント近く低くなっている。

 事業変革の具体的内容(複数回答)を業況別にみると、好調企業では、「高度化」が64.8%、「特化・専門化」が42.6%で、不調企業よりそれぞれ10ポイント近く高い。これに対し、「多角化」は不調企業が35.4%で、堅調企業(27.9%)より7.5ポイント、好調企業(20.4%)より15ポイント高くなっている。企業が好調を維持するには、「多角化」より、従来の事業において「高度化」や「特化」を進めることがより有効なことがうかがえる。

 自社の強み・特徴の有無は、「明確なものがある」と答えた企業が33.0%、「明確ではないがある」が53.9%で、これら「ある」とする企業の合計は86.9%となる。業況別にみると、「明確なものがある」とする企業は、堅調企業で37.2%あり、そのうち、特に好調企業では63.8%にのぼる。これに対し、不調企業では25.1%にとどまり、堅調企業より12.1ポイント、好調企業よりは38.7ポイント低くなっている。

 そのほかの特性等をみると、同業者間の競争が「非常に厳しい」とする企業は45.3%だが、好調企業の30.9%に対し、不調企業では60.6%にのぼる。また、不況はチャンスと「(強く+やや)思う」とする企業は50.2%だが、不調企業が35.8%にとどまるのに対し、堅調企業では57.8%と6割近く。そのうち、特に好調企業では72.3%と、不調企業の2倍以上の割合にのぼり、「強く思う」(全体では9.7%)も22.3%と2割を超えている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.osaka-shishin.co.jp/houjin/keiei/pdf/2009/2010-03-10.pdf

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