2010年03月18日-3
09年の出版業の倒産は12.5%増の72件で平成最多

 出版業を取り巻く経営環境は、携帯電話やインターネットなど読書に代わる娯楽メディアの普及や、ネット広告への移行による広告収入の減少から年々厳しさを増している。東京商工リサーチがここほど発表した2009年出版業の倒産状況によると、昨年1年間の出版業の倒産件数は、前年比12.5%増の72件となり、年次ベースでは1992(平成4)年の67件を上回り、平成最多となった。

 最近の出版業倒産件数は、2000年が52件、01年60件、02年62件、03年55件、04年54件、05年44件、06年61件、07年66件、08年64件と推移しており、特にここ数年は、高水準の状況が続いている。一方、負債総額は、前年比29.1%増の252億3100万円となり、1992年(240億9600万円)以来17年ぶりに200億円を上回った。負債10億円以上の大型倒産が同2件増の6件発生した。

 出版業の調査研究機関である出版科学研究所が発表した2009年の出版物販売金額(推計)は、前年比4.0%減の1兆9356億円となり、21年ぶりに2兆円を下回った。内訳は、「雑誌」が同3.8%減の1兆864億円、「書籍」が同4.3%減の8492億円となった。このうち雑誌は、12年連続のマイナスで、販売部数と雑誌広告減少による収益悪化から休刊も相次ぎ“雑誌不況”が深刻化している。

 また、書籍は、ミリオンセラー作品が少なかった一方で、出版社が売上増加を狙い新刊本を多く出したことで刊行点数が増加したが、売れない本は書店から次々に返され、返品率の上昇が出版社の経営を圧迫した。このように、出版業倒産の増加には、出版市場の一段の縮小が影響した。

 09年出版業倒産の72件を形態別にみると、企業の解体・消滅である「破産」が前年比57.8%増と大幅増加の60件で全体の8割強を占めた。これに対して、再建型の「民事再生法」は同62.5%減の3件となり、業績のジリ貧による息切れ倒産の増加を浮き彫りにした。原因別では、「販売不振」が同20.8%増の58件と8割を占め、次に「事業上の失敗」と「他社倒産の余波」が各4件で続いた。

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