2010年03月11日-3
低迷続く銀行貸出、3ヵ月連続の前年比マイナス

 ニッセイ基礎研究所がこのほど公表したレポート「2月マネー動向」では、日銀の貸出・資金吸収動向等によると2月の銀行総貸出(平残)の前年同月比伸び率は▲1.6%と、4年ぶりの前年割れとなった2009年12月以降3ヵ月連続のマイナスとなった。また、同月の都銀等では、前年同月比伸び率は▲3.3%(前月は▲3.4%)と大幅なマイナスになっており、銀行の貸出動向は低迷が続いている。

 比較対照である2009年2月はリーマン・ショック後の金融市場の混乱に伴う貸出の急増が生じていた時期にあたり、その反動が出ているというテクニカルな面もあるものの、企業の設備・運転資金の需要低迷により、銀行貸出残高自体が弱めに推移しているという要素もある。特に、中小企業向け貸出は前年比▲3%台で推移、12月初旬に「中小企業金融円滑化法」が施行されたが、資金繰りにも依然として厳しさがみられるという。

 一方、日銀による資金供給量を示す2月のマネタリーベースは、前年同月比2.2%増と18ヵ月連続の前年比プラス。前月の同4.9%増と比べると伸び率は低下したが、前年の2月にマネタリーベース残高が急増したという技術的な要因が大きいという。2月前半には日銀で一部資金供給を絞り込む動きがみられたが、積極緩和姿勢に変わりはなく、当面維持されるとみられ、マネタリーベース残高は今後も高水準で推移すると予想。

 また、2月のM2(現金、国内銀行などの預金)平均残高は前年同月比2.7%増、M3(ゆうちょ銀など全預金取扱金融機関の預貯金を含む)は同2.0%増と、いずれも前月より低下したが、依然高水準の伸びが続いている。M3に投信や外債などを含めた広義流動性は前年比1.1%増と、広義流動性の伸びがM3の伸びを下回り、投資信託などリスク資産の伸びが盛り上がりにかけるなか、安全性重視のマネーの流れが根強いとみている。

 同レポートの全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/report/flash/2009/flash09_156.pdf

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