2010年03月11日-2
中小企業の約2割が利用した緊急保証制度

 帝国データバンクがこのほど発表した「緊急保証制度利用実績及び倒産動向調査」結果によると、中小企業の約2割が利用しており、代位弁済率は0.52%にとどまった。「緊急保証制度」は、2008年10月31日に中小企業の金融支援策としてスタート、期限は今年3月までだったが、1年延長され2011年3月まで継続、保証枠も30兆円から36兆円に拡充するなどして「景気対応緊急保証制度」として2月15日から再スタートした。

 緊急保証制度の2008年10月~2009年12月末までの承諾件数は89万7882件、承諾金額は16兆8373億円となった。この結果、単純計算だが、緊急保証制度の承諾比率は21.4%で約2割の中小企業が承諾を得て利用していることになる。なお、1998年10月に始まった「中小企業金融安定化特別保証制度」における承諾比率は約33.9%で、緊急保証制度に比べかなり高い割合となった。

 地域別に承諾比率をみると、「関東」が24.2%でもっとも高く、次いで「近畿」が22.8%、「北陸」が22.4などだった。逆に承諾比率が低かったのは、「東北」の13.1%がもっとも低く、次いで「四国」が17.4%になるなど、地域間で格差がみられた。さらに県別で承諾比率をみると、「茨城県」が34.9%でもっとも高く、以下、「滋賀県」が30.7%、「東京都」が29.9%、「福岡」が28.3%、「静岡」が26.3%と続いている。

 一方、緊急保証制度における、東京(非公開)を除く各道府県の代位弁済合計は3901件、金額で749億円となり、代位弁済件数を承諾件数で割った代位弁済率は2009年12月末時点で0.52%にとどまる結果となった。地域別にみると、いずれの地域も1%に満たない水準にとどまっており、「四国」が0.86%でもっとも高く、「北海道」が0.76%で続いている。逆にもっとも低かったのは「北陸」の0.40%だった。

 倒産との関係では、特別保証の開始時には翌月から倒産が減少へと転じ、以後、12ヵ月連続前年同月比で減少後、再び増加へと転じたが、緊急保証については、制度開始後すぐには倒産減少につながらず、11ヵ月目となる2009年9月から減少に転じて以降、今年2月まで6ヵ月連続の前年同月比減少となった。今後も、2009年12月の中小企業円滑化法の施行などから、倒産はすぐに増加に転じる可能性は小さいとみられている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100303.pdf

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