2010年02月24日-2
労災補償の対象疾病に7疾病を追加へ

 厚生労働省は「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案」につき労働政策審議会に意見を求めた。これは、労災補償の対象となる疾病の追加を行うもの。労災補償の対象疾病は、労働基準法施行規則第35条別表1の2に明示しているが、省令案によると、労規則別表1の2について、(1)対象業務等を見直すもの、(2)業務上の疾病の範囲を見直すもの、について新たな業務、疾病を加えている。

 (1)の「対象業務等を見直すもの」では、別表1の2第三号4(上肢障害関係)を「電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕又は手指の運動器障害」を加え、別表1の2第6号1(伝染性疾患関係)に「介護の業務」を追加する。(2)の「業務上の疾病の範囲を見直すもの」については次の5疾患を追加する。

 ア.石綿にさらされる業務による良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚、イ.塩化ビニルにさらされる業務による肝細胞がん、ウ.電離放射線にさらされる業務による多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫、エ.長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病。

 オ.人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病。ちなみに、平成20年度で加重負荷による脳・心臓疾患で2062件、心理的負荷による精神障害で1107件、石綿によるびまん性胸膜肥厚で110件、石綿による良性石綿胸水で83件、電離放射線による多発性骨髄腫で1件が労災認定を受けている。

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