2010年02月22日-2
賃上げ実施予定企業は09年に引き続き6割程度

 一部の製造業には業績回復の兆しがみえるものの、依然として経営の先行き不透明感が払拭されないなか、2010年の春季労使交渉がスタートした。産労総合研究所が、賃金交渉に先駆けて昨年11月中旬から12月上旬にかけて実施した「春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」結果(有効回答数188社)によると、2010年に自社の賃上げを「実施する予定」とした企業割合は、2009年(61.9%)に引き続き57.4%と6割程度となった。

 また、経営の先行きが見通せないせいか、「現時点(2009年12月)ではわからない」とした企業が、2009年の25.0%を上回る30.9%にのぼった。今後の決断の行方が注目される。賃上げ実施予定企業の予想賃上げ率は、「2009年と同程度」が83.3%、予想賃上げ率は2009年調査と同じ平均1.7%。次いで「2009年を下回る」と「2009年を上回る」がそれぞれ5.6%。賃上げを実施する企業の予想賃上げ率は、1.4~2.1%の範囲となっている。

 賃上げ率1.4~2.1%は通常の定期昇給の範囲内に収まる水準だが、定昇制度が「ある」企業は77.1%で、うち「定昇のみ実施する予定」が60.7%、「現時点ではわからない」が32.4%、「定昇もベアも実施する予定」は2009年の6.3%からさらに減少して2.1%に過ぎない。連合は本年、“賃金カーブ維持分(いわゆる定昇)”を必ず確保することを春闘方針に掲げており、今年の賃金交渉も定昇を中心にした展開となりそうだ。

 2010年の賃上げ相場は、54.3%が「2009年を下回る」と予測、「2009年と同程度」は28.2%、「現時時点ではわからない」と判断を留保した企業は17.0%。2010年の年間賞与額は、2009年に比べて「ほぼ同額」が20.2%、「減少する見通し」が25.0%、「増加する見通し」はわずか6.4%。2009年より19.2ポイント多い48.4%の企業が「現時点ではわからない」と回答。今年のほうが先行き不透明感が濃いと感じている担当者が多いようだ。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.e-sanro.net/sri/ilibrary/pressrelease/press_files/sanro_p100219.pdf

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