2010年02月17日-2
09年の印刷業者の倒産174件は過去5年で最多

 帝国データバンクが実施した「印刷業者の倒産動向調査」によると、2009年の印刷業者の倒産は174件(前年139件)発生し、過去5年間で最多となった。印刷市場は、リーマン・ショック以降の世界経済の停滞による広告宣伝費削減の煽りを受けて、急激に縮小した。各企業は受注獲得競争を強いられる一方、印刷用紙の値上げが追い打ちをかけて収益性の低下につながり、印刷業者を取り巻く経営環境は悪化の一途をたどっている。

 月別推移をみると、印刷用紙値上げ(2008年7月)とリーマン・ショック(同年9月)の影響を受けた2008年秋以降、倒産件数は増加傾向が続いた。その後も市況が上向く様子はみられず、市場の縮小に伴う競争激化が各社の市況を圧迫。倒産件数は一年を通して高い水準で推移した。一方、負債総額は前年比12.4%増の555億8400万円(前年494億5200万円)となり、こちらも過去5年間では最高となった。

 負債額別にみると、負債「1億円未満」の小規模倒産が全体の59.8%と約6割を占めた。「1000万~5000万円未満」が67件(構成比38.5%)でもっとも多く、次いで「1億~5億円未満」が48件(同27.6%)、「5000万~1億円未満」が37件(同21.3%)となっている。一方で、「100億円以上」の倒産はなかったものの、「50億~100億円未満」の倒産も3件発生しており、2005年以降では最多となった。

 小規模倒産が全体の約6割を占めたことから、従業員数別では、「10人未満」が121件と全体の約7割を占めてもっとも多く、次いで「10~50人未満」の45件が続く。需要の低迷や競合激化など、印刷業者の収益環境は厳しく、体力に乏しい中小・零細業者の倒産が高水準で推移した。一方で、「100~300人未満」の大型倒産は4件となり、2005年以降では最多となった。従業員数の合計は、前年比で26.6%増の2051人となった。

 主因別にみると、「不況型倒産」が139件発生、全体の約8割を占めた。内訳は、「販売不振」が130件、「業界不振」が5件、「売掛金回収難」が4件。リーマン・ショック以降の世界的不況のなか、主要取引先からの受注低迷によって売上が激減し、資金繰りが立ち行かなくなるケースが目立った。また、業歴別にみると、業歴「30年以上」の倒産が79件と約半数を占め、次いで「20~30年未満」が47件と、業歴の長い企業に倒産が多い。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100202.pdf

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