2010年02月03日-2
1月の中小企業の業況は「持ち直しペース鈍化」

 第一生命経済研究所が「中小企業月次景況観測」(商工中金)及び「中小企業景況調査」(日本政策金融公庫)の調査結果を基に公表した定例経済指標レポートによると、2010年1月単月では景気は回復しているものの、改善は小幅であり、趨勢的に見れば持ち直しのペースは鈍化していると分析、景況判断指数3ヵ月移動平均の3ヵ月前差はマイナスに転じており、業況回復の頭打ち感が確認できる、と分析している。

 景況判断指数を業種別にみると、製造業についてはアジア向け輸出が好調な一般機械などが上昇した一方、鉄鋼や金属製品などが低下。鉄鋼や金属製品については、鉄スクラップなど原材料価格が上昇したことで、採算が悪化していることが背景にあるとみている。非製造業については、情報通信などが上昇したものの、販売価格の低下や内需の弱さによって、卸売りや不動産などが低下している。

 一方、大企業製造業の景況は着実に持ち直している。足元で景気回復を主導しているのが輸送機械、電機や一般機械などの大企業性製品の輸出増加であり、これらの業種の構成比が小さい中小企業では、好調な外需の恩恵を十分に受けておらず、対照的。先行きも、輸出主導で景気回復が続くこと、物価の低下傾向が続くことを考えると、こういった状況が続く公算が大きい、と予測している。

 これに対し、中小企業の金融環境は持ち直しが続いている。景気回復によって手元のキャッシュフローが増加し、中小企業の資金繰りも回復しつつある。しかし、昨年12月4日に施行された「中小企業金融円滑化法」の利用に対して「利用しない」、「利用は難しい」が計83%を占める一方、「すでに利用した」、「利用する予定」がそれぞれ4%と2%にとどまる。新制度による新規融資への影響を懸念する経営者が多いとみられる。

 同レポートの詳細は↓
 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban_index.html

ウィンドウを閉じる