2010年02月03日-1
「官民上げて成長力の底上げを」とレポート

 三菱総研がこのほど発表した「2009-2020年度の内外経済の中長期展望に関するレポート」によると、わが国の実質GDP成長率は2011-20年度平均+1.4%程度、名目+1.3%程度と予測している。前回予測値(2009年2月時点:実質1.7%程度、名目+2.6%程度)から下方修正を行った。成長は2011年度以降、安定成長軌道へ復し、その後は潜在成長率に概ね沿うかたちでプラス成長を続けるとしている。

 中長期的な成長のベースラインとなる潜在成長率は、2011-20年度にかけて平均+0.8%程度と、前回予測(+1.3%)から下方修正。その要因としては、労働力人口の減少が下押し圧力となることに加え、企業による成長期待の慎重化や新興国への投資増加を背景に、国内の資本ストックの蓄積テンポも緩やかなものに止まることが見込まれることを挙げている。
 
  わが国の成長率引上げには、需要サイドで、(1)アジアを中心とする新興国経済の活力の取り込み、(2)高齢化・環境社会に適応したモノ・サービス需要の創出、供給サイドでは、(1)教育水準の引上げなどを通じた労働力の質の向上や絶え間ない技術革新による「生産性の上昇」、(2)規制緩和や税制改革による新産業創出・投資インセンティブ作り、(3)少子化対策や女性の労働力率の引上げを通じた労働人口減少の食い止め、などを挙げている。

 さらに、財政面では、足元の税収の落込みや景気対策による赤字幅拡大、消費税率引上げ実施時期の後ろ倒し、社会保障関連支出の増大などを背景に、大幅な制度改革なしに2020年度までにプライマリーバランスの黒字化は達成できず、債務残高も対GDP比で250%に達するとし、税制改革や年金制度改革に対する取組みも含め、財政健全化に向けた道筋を早急に示すことが必要としている。

 同レポートの詳細は↓
 http://www.mri.co.jp/NEWS/press/2010/__icsFiles/afieldfile/2010/01/28/pr2010012701.pdf

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