2010年02月01日-2
農地の相続等で届出制度が創設される

 農地を相続等により取得した場合に、農業委員会にその旨を届け出る制度が創設された。これまで、農地または採草放牧地(以下「農地等」という)の相続等による農地法の許可を必要としない権利取得については、市町村農業委員会が権利取得を把握することが困難だったことから、その農地等が権利取得者によって適正に利用されない場合における賃貸のあっせん等の指導ができない状態を改善しようとするもの。

 このため、平成21年12月15日に施行された「農地法の一部を改正する法律」(平成21年法律第57号)で、相続等による農地法の許可を必要としない農地等の権利取得者は、農業委員会にその旨を届けることとなった。この制度の狙いは、届出のあった農地についてその権利取得者が利用できない場合に、農業委員会が貸借のあっせん等を行うとともに、不正転用の防止を図る目的もある。

 制度の仕組みは、まず農地法の許可を要さずに権利を取得した者(例えば相続、遺産分割、時効取得、法人の合併、分割など)が農業委員会に「農地法第3条の3第1項の規定による届出書」を提出する。届出書には氏名、住所とともに権利取得した農地等の所在・地番、地目、面積等と「権利を取得した事由」、「取得した権利の種類及び内容」、「農業委員会によるあっせん等の希望の有無」を記載する。

 届出を受けた農業委員会では、農地の適正かつ効率的な利用が図られるかどうかをチェックし、農地の適正かつ効率的な利用が図られないおそれがあるときは、届出をした者に対し、農地のあっせん等を行うことになる。また、届出をしなかったり、虚偽の届出をした者は、10万円以下の科料に処せられる(農地法第69条)。農林水産省では、農地等所有者、相続等で農地の権利を取得する見込みの者に注意を呼びかけている。

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