2010年01月28日-4
商工中金、「中小企業にデフレの向かい風」と分析

 リーマンショック以後、需要が一気に蒸発したような景況感が続くなか、景気対策の効果や在庫調整の進展、輸出の回復等により緩やかながらも販売数量が回復しているが、商工中金の「2010年の景気見通し」では、「景気の『水準』が極めて低いところまで落ち込んだため、雇用や生産設備等、供給力の過剰が未だに大きく、少ない需要をめぐり企業間の競争が激化して価格が低下し、収益を下押ししている可能性がある」と分析している。

 これを裏付けるように、価格要因を推計すると、2009年10月時点では中小製造業の販売価格の前年比下落率マイナス5%のうち、マイナス2%をギャップ要因(需要の大幅減に伴う供給量の過剰)が押し下げており、「いわば、雇用や生産設備が需要に見合った水準に調整されていないなかで、費用の多寡にかかわらず顧客の値下げ要請を受け入れざるを得ない、競争上値下げせざるを得ない、といった状況が生じている」としている。

 こうした経済環境のなかで、中小企業にとり2010年はどのような年となるのかとの見通しについて同金庫では、需要急下に伴う雇用や生産設備の過剰感は、このところやや緩和されつつあるとはいえ、根強く、「こうした極めて厳しい経営環境は、特に売上の不振として強く意識され、『中小企業月次景況観測』によると、全産業の売上高は未だ前年水準を大きく下回る状況」との分析を示している。

 このため、需要急減に伴う雇用・生産設備の過剰度合いは過去の景気後退局面と比べても大きく、2010年以降景気の緩やかな回復が続いても容易には解消せず、価格低下圧力をもたらし続け、デフレ色が濃い状況が続くと懸念している。販売価格の推計をみると、1998~2004年にかけては継続的に需給ギャップが中小製造業の販売価格を押し下げており、「今回も長期にわたり収益を圧迫していく可能性もある」としている。

 この詳細は↓
 http://www.shokochukin.co.jp/report/others/pdf/cb20100120defla.pdf

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