2010年01月27日-2
09年老人福祉事業者・医療機関の倒産、過去最多

 帝国データバンクが実施した「老人福祉事業者・医療機関の倒産動向調査」結果によると、2009年の倒産は、「老人福祉事業者」が32件、「医療機関」が52件となり、ともに過去最多となった。「老人福祉事業者」の倒産は、2006年は7件だったが、2007年以降急増し、09年までの3年間で4.6倍に急増した。養護老人ホーム、老人福祉センター、老人デイサービスセンター及び病院・診療所・歯科医院などを対象に調査したもの。

 老人福祉事業者の倒産件数の推移をみると、2001年に1件、02年2件、06年に7件で推移。ところが07年に23件に急増し、08年26件、09年32件と3年間で一挙に81件倒産。医療機関も48件に達した07年から08年は35件と減ったものの09年に52件と急増。医師の勤務医志向の後退から診療所が増加する一方、病院の減少により病床数は減り続けており、医療現場の厳しさ、老人介護問題ともに岐路に立たされている。

 倒産態様をみると、老人福祉事業者では調査期間に発生した102件の倒産のうち、「破産」が85件、全体の83.3%占め断然トップ。医療機関では、「診療所」115件(83.3%)、「歯科医院」83件が倒産(83.00%)したのに対し、「病院」は30件(42.3%)と変動はない。老人福祉事業者と同様、事業規模が小さく(個人経営が多い)、資金・設備・人材面などから、事業の建て直しが困難な実態がうかがえる。

 負債額別にみると、老人福祉事業者の66.7%(68件)が「1億円未満」、医療機関では41.7%(111件)が「1億~5億円未満」。老人福祉事業者の倒産が2007年以降急増したのは、06年4月に改正介護保険法が施行され、介護報酬の引下げに加え施設サービスにおける居住費用・食費が介護保険給付対象から除外されるなど、業者側の経営環境が悪化したことが要因、また、医療機関では競争激化に伴う淘汰的倒産が多いものと考えられている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100101.pdf

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