2010年01月21日-1
強まる“見極める消費”を行う傾向~野村総研

 (株)野村総合研究所は2003年以降、3年ごとに15歳~69歳の男女個人を対象とする「生活者1万人アンケート調査」を実施、このほど2009年7~8月に行った5回目の調査結果をまとめたが、経済環境が悪化するなかで、生活者は必ずしも低価格志向を強めているわけではなく、むしろ品質や環境、安全を求める傾向が強まっている。その際、自分にとって本当に価値あるものについて、“見極める消費”を行う傾向が強くなっている。

 調査結果(有効回答数1万252人)によると、まず「今年(2009年)から来年(2010年)に景気がどうなると考えているか」に、29.2%が「悪くなる」と回答、前回調査を12.8ポイント上回り景気の悪化を懸念している。将来の見通しについても「今よりも少ない収入を前提とした生活設計を考えている」人が26.5%と「今以上の収入を前提としている」(16.4%)を大きく上回り、縮み思考が如実に表れている。

 これに対し、基本的な消費価値観の変化傾向をみると、「とにかく安くて経済的なものを買う」は45.4%と前回調査から増えておらず、「多少値段が高くても品質の良いものを買う」(44.3%)が5回の調査でもっとも多かったほか、「自分のライフスタイルにこだわって商品を選ぶ」(34.6%)も前回調査を3ポイント以上上回り、「できるだけ長く使えるものを買う」(61.3%)、「環境保護に配慮して商品を買う」(18.2%)なども過去最高となった。

 このように、景気の見通しや今後の生活設計を考える上での収入の前提について、かなり厳しい見方がされている一方で、自分のライフスタイルへのこだわり、環境保護(エコ志向)、安全性重視の傾向が顕著となっている。ここから「支出は極力抑えたいが、“安かろう悪かろう”ではなく、消費の対象は価格と品質のバランスが大事」という、現在の生活者の消費に対する心理が浮かび上がる。

 また、「無名なメーカーよりは有名なメーカーの商品を買う」との回答が前回調査比3.9ポイント増の42.3%など、ブランドや有名なメーカーを志向する傾向の上昇に加えて、インターネットの利用の普及を背景とした、「事前に情報収集してから買う」人が同6.9ポイント増の35.8%、「使っている人の評判が気になる」が同6.0ポイント増の26.9%と、いずれも拡大している。このように、信頼できる基準を求めた上で購入を決定する傾向が強まっている。

 同アンケート調査結果の詳細は↓
 http://www.nri.co.jp/news/2009/091228.html

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