2010年01月18日-2
「企業の倫理憲章」の趣旨実現をめざす共同宣言

 日本経団連は、1997年に「就職協定」が廃止されてから、新規学卒者の就職・採用時における無用な混乱を避けるため、企業に対し責任と秩序ある採用活動を求める「倫理憲章」を毎年必要に応じて見直した上で公表し、広く関係者の理解と実践を訴えてきた。今回も、就職活動の早期化・長期化への対応を図った上で、2009年10月20日付けで大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章を公表した。

 経団連では、倫理憲章の周知徹底とその実効性を高めるため、2004年度以降、会員企業に広く参加の呼びかけを行い、「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」として趣旨に賛同した企業名を公表している。今回の賛同社数は昨年の909社を上回る912の企業及び団体(2010年1月1日現在)にのぼった。共同宣言は、採用選考活動の早期化に一定の歯止めをかける効果があるものと、大学側と企業側双方から評価を得ている。

 今回の「企業の倫理憲章」の具体的内容については、「企業は、大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の採用選考にあたり、十分に配慮すべき点として、(1)正常な学校教育と学習環境の確保、(2)選考活動早期開始の自粛、(3)公平・公正な採用の徹底、(4)情報の公開、(5)広報活動であることの明示、(6)採用内定日の遵守、(7)その他、を挙げ、自己責任原則に基づいて行動する」としている。

 例えば、(1)の正常な学校教育と学習環境の確保では、在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する。(2)の選考活動早期開始の自粛では、卒業・修了学年の学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、選考活動の早期開始は自粛することを求めている。

 また、(3)の公平・公正な採用の徹底では、公平・公正で透明な採用の徹底に努め、男女雇用機会均等法に沿った採用選考活動を行うのはもちろんのこと、学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない。 (6)の採用内定日の遵守では、正式な内定日は、10月1日以降とする。(7)のその他では、高校卒業予定者については教育上の配慮を最優先とし、安定的な採用の確保に努めることを求めている。

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