2010年01月14日-4
中小の8割強が金融危機で経営環境「悪化」と認識

 2008年秋以降の世界的な金融・経済危機により、経営環境が「悪化した」企業の割合は52.6%、「やや悪化した」の30.3%と合わせ、8割強の企業が悪化したと認識していることが、商工中金が同金庫取引先を対象に昨年7月時点で実施した「金融・経済危機の中小企業に対する影響と海外展開に関する調査」結果(有効回答数5366社)で分かった。「改善」の割合から「悪化」の割合を差し引いたDIは▲78.7だった。

 製造業、非製造業別にみると、「悪化」の合計は製造業が85.5%、非製造業が81.4%と、製造業でより悪化度合いが強い。DIでみても、製造業が▲81.4、非製造業が▲77.1で、製造業がより深刻である。個別業種をみても、製造業では、鉄・非鉄、印刷、金属製品、一般機械、輸送用機械、精密機械の6業種で「悪化」が9割以上を占め、経営環境の悪化が深刻な様子がうかがわれる。

 経営環境の変化の具体的な影響(複数回答)では、「売上・受注量の減少」を77.7%の企業が挙げ、次いで「利益の減少」が58.2%で、この2項目を挙げる企業の割合が際立って高い。以下、「販売価格の下落」(28.1%)、「資金繰りの悪化」(19.9%)、「人員過剰」(15.7%)と続く。製造業では、「売上・受注量の減少」、「利益の減少」「資金繰りの悪化」などの項目における割合が非製造業より高く、影響がより厳しい様子がうかがえる。

 一方、2010年3月末の業況に対する見方については、「現状より改善し、金融・経済危機発生前の水準を回復する」はわずか5.1%にとどまる。「現状より改善するが、金融・経済危機発生前の水準に戻っていない」が37.4%で、業況回復の動きはみられるものの、本格回復には程遠い。また、「現状と同程度で推移」が41.9%、「現在より悪化している」が15.6%と、現状水準ないしそれ以下の水準を見込む企業が半数を超えている。

 製造業、非製造業別にみると、「現状より改善し、金融・経済危機発生前の水準を回復する」は製造業で4.1%、非製造業で5.6%に過ぎない。「現状より改善するが、金融・経済危機発生前の水準に戻っていない」はそれぞれ46.8%、32.3%で、製造業で割合がより大きい。「現状と同程度で推移」、「現在より悪化している」の合計は非製造業では62.0%と6割を超え、製造業(49.1%)に比べ先行きに対する見方がより一層慎重だ。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.shokochukin.co.jp/report/tokubetsu/pdf/cb10other01_01.pdf

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