2010年01月14日-1
今年の経営活動のボトルネックは「需要の減少」

 産業能率大学が中小企業経営者を対象に実施した「2010年の中小企業の経営施策に関する調査」結果(有効回答数668人)によると、2010年の経営活動で“ボトルネック”になりそうなもの(複数回答)は、「需要の減少」が48.4%で最多だった。業種別にみると、製造業では約64%が懸念材料に挙げている一方、運送・輸送業、サービス業、ソフトウェア・情報サービス業では4割強にとどまっている。

 地方ごとにみても、もっとも少ない近畿の39%に対して、四国は約65%と開きがある。「政治の変化」も2番目に多く25.9%が選択している。「政治の変化」は、建設業、運送・輸送業では4割弱に達しており、公共事業の削減や高速道路無料化などの政策が気になっている様子がうかがえる。以下、「業界構造の変化」(23.2%)、「人材不足」(22.8%)、「資金繰りの悪化」(20.4%)などが挙げられている。

 2010年に取り組みたいこと(5つまで回答)は、「利益率の向上」が44.0%で最多、これにほとんど差がなく「営業力の強化」(43.9%)、「従業員の全体的な育成」(42.2%)、「顧客満足度向上」(38.5%)が続いている。厳しい状況下において、なんとか営業力を高めて売上を確保するとともに、利益率を向上して体質を強化したいとの思いが読み取とれる。また、これらを実現するために人材教育の必要性を実感していると推察できる。

 新興国企業の成長・日本進出などを踏まえた中小企業ならではの生き残り策(3つまで回答)は、「柔軟な顧客対応」が60.0%、「高品質の製品・サービス開発」が44.3%、「ニッチ・未開市場への特化」が32.3%と続く。エリア別にみると、「柔軟な顧客対応」は、北海道、東北、中国、四国で回答が多く、取引先が関東・中部・近畿などより少ないと考えられるエリアでは、顧客の囲い込みが勝ち抜く術と考えられているようだ。

 なお、緊急時に事業を適切に引き継げる後継者の有無については、「いる」との回答はわずか12.6%、「しばらくは不安定かもしれないが、後継者になり得る人材がいる」という、後継者が少なからずいるのは41.5%、残りの46.0%は「企業の存続が危ういほど後継者がいない」と回答。引き継げる後継者がいない理由は、「経営を担えるだけの素養のある人材がいない」(40.7%)、「自分しか処理できない仕事が多い」(31.3%)だった。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/forecast2010.pdf

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