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連載9 III 資金繰りに困らない強い財務体質づくり(3) | ||||||||||||||||||||||||||
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5 回転主義経営で利益を伸ばす (1)利益を生む4つの源泉 まず、売上を上げることです。売上を増やすには、 売上高=単価×数量 次に、コストを下げることです。コストダウンには、2つの方法があります。 売上のもとになる原価を下げて粗利を増やす ことが必要になります。 経費は「第3の利潤」といわれ、売上が上がらなければ経費を切り詰めることにより利益を確保する、つまり「入るを計りて、出るを制す」ことが重要となります。 もうひとつ大切なのは、会社の資産(土地・建物・設備・在庫・売掛金・受取手形・現金)を少なく抑えて「資産の回転をよくする」、要するにカネ回りのスピードを上げることです。 以上、利益実現の4つの源泉は図表1のように、四角形でとらえることができます。 単価を上げ数量を増やして売上を上げることは、相手があることですので、自社だけの努力では難しい面もあり「環境利潤」といいます。いわば好況時の攻めの経営といえます。 一方、経費の削減と回転率の向上で利益を出すことを「経営利潤」といって、自社の努力で効果が上がる自力型の守りの経営といえます。 利益を上げる4つの源泉について、それぞれの実行具体策の着眼点を図表2にまとめましたので、ご参照下さい。 (図表2)利益向上のポイント
(2) 資産の回転と利益の関係 ‡@ 資産が回転すると利益が増える理由 総資本経常利益率の一般的な基準値は、15%以上なら優良、10~14%までなら健全、5~9%なら普通、2~4%なら注意、1%以下なら危険ということになります。 総資本利益率は次のようにして求めます。
これを分解すると
経常利益÷売上高は「売上高経常利益率」を示し、右側の、売上高÷総資本は「総資本回転率」を表わします。つまり、 総資本経常利益率=売上高経常利益率×総資本回転率 となります。従って、総資本経常利益率を高くするには、売上高経常利益率を高くするか、あるいは総資本回転率を高めればよい、ということになります。同時に両方を高めるのは容易なことではないので、自社として、どちらを重点に高めるのかを経営戦略として決めることが重要です。現在のようなデフレ不況では、総資本回転率を上げることが現実的な対策といえるでしょう。最低でも1回転以上、できれば1.5回転以上を目標として下さい。 ‡A 回転が悪いと資金が詰まる理由 また、固定資産(土地・建物・設備)を自己資金の範囲以上に増やすなら、その資金を銀行から借りなければなりません。借入金の返済期間は5年、7年ですが、設備・建物は5年や7年では償却はできません。土地などは償却そのものもできないので、たちまち返済計画が行き詰まることになります。従って、固定資産を自己資本で割った固定比率は1.0以下に抑える必要があります。 流動資産では在庫の回転に注意すべきです。「在庫は腐りやすいカネ」といわれるように、資金の回りを悪くします。売ることやつくることに比べて、在庫管理はないがしろにされがちです。商品在庫は、いわばカネが変形したモノです。しかも、この在庫はカネと違って腐りやすいのです。 さらに、在庫にしておくだけでさまざまなコストが発生します。 カネがモノとして寝ているわけですから、その分、金利が2~3%かかります。加えて、倉庫の倉敷料・在庫管理の人件費・倉庫での雑費・運搬費などがコストとして加算されていきます。 在庫はカネの回転を悪くする諸悪の根元、決して必要悪と考えてはいけません。 (3)ストック経営からフロー経営へ 土地・建物・機械・在庫…、今日より明日、今月より来月と価値が下がって行きます。先に行くと価格が下がるわけですから、売掛金も早く回収しなければなりませんし、手形を受けとることも考え直さざるをえません。 これからの経営標準は「いかに少ない資産を使ってどれだけ大きな利益を上げるか」によって、経営者の能力が評価されることになります。この判断を間違えないためには、「資産」と「利益」の関係を、もう一度しっかりと整理しておく必要があります。 |
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