ゼイタックス |
||||||
![]() |
||||||
連載12 III 資金繰りに困らない強い財務体質づくり(6) | ||||||
![]() |
||||||
6 業種別回転経営のポイント(承前) (5)卸売業・商社 イ 固定資産を拡大すれば経営の致命傷となる 卸の機能には、金融機能・倉庫機能・物流機能・マーケティング機能などがあります。メーカーや生産者から商品を買い取って保管し、運送して、販売するわけですからどうしても在庫が増えるし、売掛金・受取手形も膨らみます。 しかも、その中身が腐りやすいのです。不良在庫や回収不能な売掛金が出やすいことに加えて、利幅が少ないのが一番の問題点です。ちょっとした回収事故が数カ月分の売上を失うことに直結してしまいます。流動資産が増え易いからといって、手をこまねいて対策を打たないでいると、倒れやすい虚弱体質になります。 ‡A 資産圧縮のポイント イ 売掛金・受取手形回収のための社内ルールを「金額」、「振り出し などが必要です。 固定資産税については、 イ 必要最小限の資産に抑える。 などがポイントとなります。 ‡B 機能別の対策 イ 物流機能型(保管・配送機能に強み) ロ 金融機能型(与信・回収・危険負担機能に強み) ハ 販売機能型(販売代理権・営業力に強み) 弱いメーカーは支払い条件は緩いが、営業力が必要。 ニ 加工機能型(メーカーベンダー型・営業接客力・加工技術・メンテナ ホ トータルマーチャンダイズ型(商品規格・調整力・市場情報力に強み) (6)建設・土木業の回転経営 イ 流動資産が増えやすい体質だけに、固定資産は持たない ロ 自社ビル建設については、慎重な対策が必要。公共工事を事業の柱と 公共工事受注を希望する建設会社を点数でランクづける経事項審査(経審)の評価基準が大幅に見直されたからです。見直しにより経営状況、特に財務バランスが重視されるようになりました。 そこで問題となるのが、重機類の所有による固定資産の増加です。所有すれば、そこから部品修理代・整備・修理代・減価償却費・税金・保険代などの支払い経費がかかります。また、稼働率も考慮しなければなりません。 したがって、リース・レンタル活用との比較計算をして、どちらがコスト的に有利かの検討をする必要があります。リース・レンタルでの時間単価と稼働時間を掛けた積と、所有した場合の支払い経費の合計とを比較し、有利なほうを選択することが、財務改善につながります。どんぶり勘定ではダメです。 また建設業では、自社ビルを所有している会社を多く見かけますが、立派なビルを所有している会社を多く見かけますが、立派なビルほど内情は火の車というところが多いのも事実です。全部借金で建てると、建物の償却年数が長いため、資金ショートを招きやすいからです。 自社ビルを建てるのであれば、資金を寝かさないために本社ビルとして建てるのではなく、オフィスビルとして建てることです。しかも、3分の1は自己資金、3分の1は銀行借入れ、残り3分の1は入居者の保証金で賄う、という計算をすることです。 もう1つの留意点は、たとえ採算にのったとしても、ビルの所有運営は別会社にすることです。 理由は次の通りです。 イ 家賃収入があるとどうしても本業が甘くなる ‡A 資産圧縮のポイント イ 現預金はギリギリで抑え当座貸越を活用する 次に、固定資産は所有しないことを原則とし、どうしても機械設備を購入しなければならない場合には、リース・レンタルした場合との費用計算をした上で手当てとすることです。 (7)不動産賃貸・旅館業など イ 稼働率を最重視し、機会損失を最小限にする。 ‡A 不動産賃貸の2つのタイプ イ 貸しビル・貸し倉庫・賃貸アパート・駐車場のように、純然たる不動 前者は不動産というウ設備そのものを貸し付けるわけですから、コストは金融コストのみであって、原価や人件費や営業管理費は少なくて済みます。いわば、売上高がほとんど粗利益高の事業です。 したがって、投下したイニシャルコスト(初期投下資金)を回収するためには、当初の目論に通りの売上が確保出来るかどうかが重要となります。そこで事業を始めるときの企画を優劣が、事業の成否をほとんど決めてしまいます。その企画・調査の中心は立地であり、物件の立地条件から見込み客層やグレードの設定、どのくらいの広さが良いか、などの建設立案が成功への一番大切な要素となります。 ‡B 不動産賃貸の資産管理のポイント 旅館・ホテル業では、宴会や飲食会の掛売りが発生するので、早期の回収策を講じないと固定資産が大きいだけにわずかなお金でショーとする可能性がありますので、厳重にチェックする必要があります。 |
||||||