2003年度税制改正は減税総額約2兆円となる。先行減税は1兆2千億円の企業の研究開発・投資減税が中心だが、本年5月からの発泡酒・ワインの酒税や同7月からのたばこ税の増税などが約2千億円あり、先行減税の規模は差し引き1兆8千億円となる。また、5年間での「多年度税収中立」との目標は、所得税での特定扶養控除の廃止を見送ったことや、外形標準課税を大企業に限定したことから、7年間で減税と増税の規模を同じにする。
★中小企業は3年間に限り15%の控除率 先行減税の中心は研究開発・投資減税だ。本年1月開始事業年度から適用される研究開発減税は、研究費総額の8~10%を法人税額の20%相当額を限度に控除する。中小企業は3年間に限って控除率を15%とする。設備投資減税では、IT投資促進税制の創設がある。来年から3年間内に購入したコンピュータやソフトなど一定のIT関連設備を購入した場合は、取得価額の10%相当額の税額控除と取得価額の50%相当額の特別償却との選択適用を認める。
★30万円未満の減価償却資産を即時償却 中小企業関係では、自己資本比率が50%以下の中小企業に対する留保金課税の停止や、交際費課税の損金算入の特例の適用対象を資本金5千万円以下から同1億円以下に引き上げ、定額控除400万円までの金額の90%(現行80%)損金算入を認める。また、減価償却資産の即時償却ができる資産の対象を10万円未満から30万円未満に引き上げる。
★生前贈与の非課税枠は2,500万円 注目されていた相続・贈与税の一体化措置である相続時精算課税制度(仮称)の生前贈与の非課税枠は2,500万円(住宅取得資金は3,500万円)で、非課税枠を超えた部分は一律20%で課税する。現行の相続税・贈与税の最高税率も70%から50%に引き下げられる。これらの適用は本年1月以降の相続・贈与から。
★上場株式等の配当等は5年間は10%の優遇税率 証券税制は、上場株式等の譲渡益、配当、公募株式投資信託の収益分配金について、一律20%の源泉徴収で納税できる仕組みを導入し、5年間は10%の優遇税率を適用する。土地税制では、不動産登記に係る登録免許税の税率を5%から2%に引き下げ、2003年4月から06年末までは1%に軽減する。さらに、特別土地保有税の課税凍結や、新増設に係る事業所税を来年末で廃止、不動産取得税の引下げなどがある。
★配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止 一方、増税項目では、本年5月から発泡酒(350ミリリットル)とワイン(720ミリリットルビン)の酒税を10円ずつ引き上げ、7月からたばこ税を1本あたり1円引き上げる。04年1月からは所得税の配偶者特別控除の最高38万円の上乗せ部分を廃止する。特定扶養控除は存続する。
★外形標準課税は大法人に限って導入 04年4月から資本金1億円超の大法人を対象に限定して、外形基準の割合を4分の1とする外形標準課税制度を導入する。消費税については、04年4月以後に開始する課税期間から、事業者免税点制度の適用上限を3千万円から1千万円に引き下げ、簡易課税制度の適用上限を2億円から5千万円に引き下げる。また、直前の課税期間の年税額が4,800万円(地方消費税込み6千万円)を超える事業者の中間申告納付回数を現行の3ヵ月ごとから毎月にするなどの改正が盛り込まれた。
大綱本文は、
http://www.jimin.jp/jimin/saishin02/pdf/seisaku-020_1.pdf。
要綱本文は http://www.mof.go.jp/seifuan15/zei001.pdf 。
【1.投資減税】
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