ゼイタックス |
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連載13 IV 銀行との上手な付き合い方(1) | ||||||
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1 日常の付き合い方 (1) トップは定期的に銀行を訪問すること 会社によっては、旺盛な資金需要を背景にトップが頻繁に訪問するケースもありますが、多くの場合、年に1回、あるいは2回程度しか支店長や融資担当者に接する機会はないのではないでしょうか。 銀行というところは、「社長にカネを貸す」という思想が根強く、業績が思わしくなく担保も十分ではないとき、貸出の諾否は社長への評価で決まります。社長とは決算書以上に、会社の将来を占うバロメーターなのです。貸出審査のときに、社長の顔が浮かばないようでは、銀行から思い通りに融資を引き出すことは難しいといえます。 銀行取引においても、他の会社との付き合い同様、取引の基本は人と人とのコミュニケーションです。 特に中小企業の場合、銀行担当者と経理担当者という「事務レベル」ではなく、社長と支店長というトップレベルの付き合いが融資を大きく左右することは間違いありません。 (2)支店長と太いパイプを持つには 「ちょっと入金があったから」、「先月の試算表ができたので、ご報告しようと思って」、「半期が終わりましたので、中間決算をまとめました」など、理由は何でも考えられます。 支店長と面談する際のポイントは次のようなことです。 ‡@ 個人的なレベルで親しくなること ‡A 支店長の人物を確認 本部にばかり目が向いている人物なのか、取引先のことを第一に考える人柄なのか、あるいは会社が窮地にたったときに力になってくれる人物なのか、というようなことを見極めます。相性が良くない支店長の場合でも、決して顔に出さないことです。ケンカしても損をするのは取引先の方です。2年たてば転勤してしまいますから「うまくやる」ことが大切です。 ‡B 社長が信頼できる人物であることをアピール ‡C 資金需要を前もってアナウンス 優良企業ならば、黙っていても支店長の方から訪問します。普通の会社では、やはりこちらから働きかけて支店長との顔をつないでおくことが重要です。 業績が悪くなってから、初めて社長が銀行を訪問してもあまり効果はありません。「なんでいまさら」とか、「業績が悪くなって、他行に見放されたのではないか」というような猜疑心が先にたちます。 銀行員とは、本質的に他人を信用できない人種なのです。 (3)銀行が欲しがる情報を提供する 受注状況や今後の資金繰り予定、他行との取引状況の変化などの自社の情報を、どこまで開示するかについてはさまざまな考え方があると思いますが、これを「銀行に対して隠す」ものではなく「銀行には積極的に知らせる」ものと考えた方が、メリットは大きいといえます。 銀行の融資現場では、しばらく貸出の案件がないと、つい取引先と疎遠になりがちです。融資担当者の仕事は貸出案件のある取引先が中心となるので、それ以外の取引先については余り目が向きません。「あの会社はどうしているか」、「受注は好調だろうか」といったことは気にはなりますが、なかなかヒアリングが出来ないのが実情です。 そこで、表1のような業況日報を作成して定期的に提出します。このなかに、次のような内容を自社の情報としてコンパクトにまとめ、不足しがちな銀行とのコミュニケーションの大切な橋渡し役とすると効果的です。 ‡@ 受注状況 ‡A 資金繰り ‡B 他行取引の状況 ‡C コメント こうした情報を定期的に提出することで、「しっかりした会社」というイメージを与える役割を果たすと同時に、新たな資金需要をアナウンスできるメリットもあり、予想以上の効果があります。 |
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