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第16回 「役員報酬、使用人給料」税理士 東澤 茂樹 | ||||||
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法人が支給する給与をこれら3つの種類に分類し、さらに支給を受ける者が役員か使用人かにより、税務上の取扱いが異なります。 特に税務調査でも最重要項目のひとつになっている、役員に対する給与の区分をまとめると表1のようになります(法法34、35、36)。 なお、ここで注意しなければならないのは、給与は単に金銭で支払われるものだけではなく、債務の免除その他の経済的利益を含むという点です。 表1 役員給与の区分
役員報酬、使用人給料ともに法人の事業の遂行上必要な費用であることから、原則、損金の額に算入されます。ただし、役員報酬及び特殊関係使用人の給料については一定の制限が設けられ、損金不算入となることがあります。
‡@不相当に高額な部分の金額
表2 過大役員報酬の判定基準 なお、両方の基準を超える場合には、その超える金額のうち多い金額を損金不算入とします。 1.形式基準 なお、実務上は、定款により個々の役員の報酬を決めることはあまりありません。まず、株主総会の決議により役員報酬の総額を決めておき、次に取締役会で取締役一人ひとりについて報酬を決めることが多いようです。 2.実質基準
法人の役員と特殊の関係にある使用人を特殊関係使用人といいます(法令72の2)。具体的には、次の表3の関係にある使用人をいいます。 表3 特殊関係使用人の範囲 2.特殊関係使用人に対する過大な使用人給与の損金不算入 特殊関係使用人に対して支給する給与の額のうち、不相当に高額な部分の金額は、その法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されません(法法36の2)。ここでいう給与には、賞与も含まれます。 この規定は、税務調査に実際に携わる現場レベルからの強い要望により設けられた規定です。過大な役員報酬が損金不算入となることから、役員の親族などを使用人として、過大な給与を支給するという行き過ぎた節税が横行することがありました。そこで、使用人であることを隠れみのとした行き過ぎた節税を防止し、課税の公平を図るために設けられたのがこの規定です。 3.不相当に高額な部分の金額 不相当に高額かどうかは、下記の状況を総合勘案して算定した額を基準として判断します(法令72の3)。 (1)特殊関係使用人の職務内容
日本の法人の90%以上を占めるのが中小企業で、そのまた大半を占めるのが同族会社です。同族会社ではオーナー経営者のもとで家族が役員や使用人として会社に深く関わっています。いわば経営者一族と会社は一心同体です。そこには、経営者の恣意性が介入しやすく、お手盛りによる給与等の支給に係る経理処理があることも否定できません。その中のひとつに役員報酬、特殊関係使用人の給与があります。しかし、その額が過大な場合には税務調査で無用な指摘を受けることがあります。そこで、金額の決定、変更の際には、事前に顧問税理士と打ち合わせをすることが賢明と思われます。 |
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