ゼイタックス |
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連載14 IV 銀行との上手な付き合い方(2) | ||||||
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(4)自社のことを知ってもらう工夫をする どんな製品を作っているのか、どんなサービスを提供しているのか、それがわからないまま融資をすることほど、銀行員にとって怖いことはありません。製品イメージやサービスイメージをきちんと伝えるためには、最低限、製品写真などが掲載されているパンフレット類を必ず提出しておくことです。 支店長が交替して新支店長が赴任したときなどは、PRする絶好の機会です。 ‡A 自社を訪問してもらう (5)決算内容はどの程度報告すればよいか そんななかで、決算書をめぐるトラブルは意外に多いものです。大抵は提出する、しないといったささいなものですが、相互の関係を悪化させる原因にもなっています。 銀行は融資先の業績を定期的にチェックする必要があります。財務内容が悪化していれば、返済できなくなる可能性があるからです。当然、そうなる前に銀行は債権の保全策を検討する必要がでてくるわけで、その判断基準となるのが決算書に他ならないのです。 銀行では「貸しっぱなし」は許されません。それは取引先にも言えることで、「借りっぱなし」は禁物です。 ‡A 粉飾はタブー 粉飾が明らかになった場合は、悪質であれば即、取引き打ち切りとなります。 ところで、銀行が決算書の提出を取引先に要求する法的な根拠はあるのか、疑問におもっている方も多いと思いますが、銀行取引約定書の第12条に次のような条文があります。 <第12条 報告および調査> (6)担当者や支店長の交替に左右されないコツ ラインとは、最終権限を持つ支店長、副支店長(次長)、融資課長、そして担当者です。従って、銀行へのアプローチは、個人でなく、このラインを意識して行うように心掛ける必要あります。「担当者リスク」をもろにかぶってしまう会社は、往々にして、このラインの誰かに重点的に寄りかかった関係にあって、他のメンバーに目を向けていません。 ‡A 窓口の女性行員を味方につける 「どこどこの会社はいくらお願いしても総合振込の期日に間に合わず、その上、伝票の起票がバラバラで字も汚くて読みずらいので困っています」 などという、ドキッとするような発言が会議の席上を飛び交います。 逆に、ここで評判の良さも支店長に伝わるわけですから、考えようによっては利用できるのです。 (7)銀行も取引先なしではやっていけない 今や大企業の資本調達は、債券発行などによる直接金融にシフトしつつあり、伝統的な銀行借入れに依存するウェイトは減少の一途をたどっています。 つまり、大企業に対しては従来のような「カネ貸し」が商売にならなくなっているわけです。このため都市銀行などは証券業務などへ比重を移しており、貸出業務は縮小傾向にあります。 このような状況下で、銀行も業態の変革を迫られているのが実情です。 ただ、都市銀行などが中小企業マーケットに参入する場合に、「リスク重視」の融資姿勢がより鮮明になるのは避けられません。つまり、中小企業という市場は、「飯のタネだが、リスクは高い」難しいマーケットなのです。 このため、各社ごとのリスクを「格付け」という形できちんと把握するのです。リスクの高い、つまり格付けの低い会社に対する貸出しは、貸出金利を引き上げてリスクに見合った収益を織り込んでいく、あるいは貸出しそのものを見合わせる、といった取引先戦略が展開されつつあります。いわゆる「取引先」の選別化です。 信用リスクが高いことを理由に金利を引上げられるかも知れない中小企業にしてみれば、従来通りの金利を支払えば融資してくれる中小金融機関と都市銀行との二者択一を迫られることになります。なかには、金利が高くなっても名門銀行との取引を優先する会社もありますが、多くの会社は金利が比較的安く、しかも「大事にしてくれる」中小金融機関との付き合いを深めて行くことが賢明な選択と言えましょう。 (8)好印象を与えるための努力を惜しまない それよりもまず、「銀行の担当者にとって魅力的なイメージのある会社」を目指すべきです。 銀行の積極的な支援を取りつけようと思ったら、融資担当者やラインに対して魅力的なイメージを売りこむことが大切です。担当者の印象によって融資の可否はどちらにも転ぶ場合は結構多いものです。融資の結論に迷うことなど銀行にとっては日常茶飯事ですから、肯定的な意見がそこで出るか出ないかが勝負を分けます。 自社にとって、ひいき目な印象を持ってもらうような精神面に訴える日常の努力・方策を惜しんではいけません。 (9)銀行と自信を持って付き合おう ただ、銀行の自由化による様々な情勢の変化により、銀行をめぐる環境は急激に変化しています。顧客対応も同様で、一般企業を巻き込んだ金融再編も進んでいます。このような時代の変化を乗り切るために求められているのは、会社の将来に対するビジョンです。 たとえ現在は赤字であっても、経営者として将来への具体的な展望を持っていること、事業として採算がとれ、継続していく目算が立っている、ということが極めて大事になります。 これがもっとも肝心な点であり、どんな時代にあっても、そしてどんな担保よりも絶対的に評価され、銀行取引における最高の潤滑材になることは間違いありません。 ビジョンを難しく考える必要はありません。今までの経営を通して考えてきたことと同じはずです。その想いを分かり易く、具体的に情熱を持って銀行に示すだけでいいのです。 |
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