ゼイタックス |
||||||
![]() |
||||||
第2回 法律による納税義務のあり方 その1 | ||||||
![]() |
||||||
「国民はどうして納税の義務を負うのか」という問いに対しては、税務行政庁はそれは憲法に「納税の義務」が規定されているからだといいます。 そこで、憲法第30条《納税の義務》を見てみましょう。それは「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」と規定しています。 したがって、税法等の法律で国税・地方税に係る納税の義務が規定されたら国民は納税の義務を負わなければなりません。しかも、この納税は逋脱の罪(5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金)まで用意された強制的な法律に基づくものです。 このことは、租税負担は公平でなければならないとすることから、当然の処罰規定ともいえます。 しかし、私達国民は、納税義務の公平と同時に、課税をなし徴収を行う課税官庁(以下徴税当局といいます)の権力の行使が納税者に対して公平であるように法律が制定されているかということも検証しなければなりません。すなわち、国民が納税の義務を負う法律が、徴税当局対納税者の関係において公平に制定されているかどうかについても検討する必要があると思われます。 そこで、法律制度における、徴税当局の権限拡大、納税者の権利保護に欠けている法律として筆者が身近に感じたものをピックアップして説明します。 (1)徴税当局、更正・決定期間7年(通則法70)対、納税者、更正の請求期間1年(通則法23) 徴税当局の行政処分としての更正・決定は、納税者の過少申告等の是正について行われますが、単純過少申告において3年、不正過少申告については7年と定めています。他方、納税者の過大申告の是正に係る更正の請求については、1年と定めています。 このことは、国政選挙において3対1が憲法違反の疑いがあるといわれている時代に、徴税当局には、3年乃至7年の租税増額是正権があり、他方納税者は1年のみの租税減額是正権しか認めないとする法律の制定は、不公平だと判断されます。 (2)徴税当局、相続税における借地権の評価課税(相続税法22)対、納税者、相続税法における物納の対象とはならない相続税法(相続税法41) この問題は、借地権が経済的価値を有するものとして、相続開始時の時価で強制的に課税されることになります。これに対して、物納は金納の特例として、対象物件につき税務署長の許可制となっています。しかし、借地権はその対象物件にも含まれていません。 都会では借地権割合の最高は90%となっており、相続税の最高税率70%でどのように納税するかは深刻な問題です。すなわち、財産課税としての相続税において経済的価値があるとして利用借地権を課税し、物納には含めず金納を強制することは、まさに徴税当局の権限拡大であり、納税者の権利保護がないと判断されます。 このように、身近な事例だけでも法律の制定そのものが徴税当局の権限拡大・納税者の権利保護なしの不公平な形で定められているといえると思います。 したがって、行政改革に応じてこの不公平な法律を是正していく必要があります。 この是正の方法については、次回で述べることにします。 |
||||||