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小規模宅地・自社株特例の両方を利用できるよう見直し

 2002年度税制改正で導入された自社株特例を選択した場合は、小規模宅地の特例は利用できないが、来年度税制改正で、自社株に対する軽減措置の諸要件が見直され、宅地と株の両特例を両方利用できるようになるなど、事業承継税制が拡充される。自社株の特例は、発行済み株式総数の3分の1以下の部分について、一定要件を満たす場合には、3億円を限度に、相続税の課税価格の10%を軽減するもの。

 改正後は、対象会社要件が、発行済み株式総額10億円未満の会社から、20億円以下の会社まで利用できることになる。本人とこれと生計を一にする者(妻など)とだけで50%以上保有するという被相続人要件が、同族関係者(6親等内の親族)で50%以上保有していれば利用できるように要件緩和される。また、軽減対象の上限が、発行済み株式総数の3分の1から3分の2に拡大される。

 最も注目されるのは選択要件の見直しだ。現行では自社株特例と小規模宅地特例の選択制だが、改正後は、自社株特例を利用して、発行済み株式価額の3億円という上限に満たない場合は、上限に満たない部分の割合を限度として、小規模宅地特例の利用を可能とする。反対に、小規模宅地特例を利用して、居住用であれば240平方メートルという上限に満たない場合は、上限に満たない部分の割合を限度として、自社株特例が利用できる。

 例えば、自社株2億円を10%軽減の特例を利用した場合、「(3億円-2億円)/3億円」で、3分の1が上限に満たないことから、「240平方メートル×1/3」で80平方メートルまで80%軽減措置が利用できる。逆に、200平方メートルを小規模宅地特例を利用した場合は、「(240平方メートル-200平方メートル)/240平方メートル」で、6分の1が上限に満たないことから、「3億円×1/6」で5千万円まで10%軽減の自社株特例が利用できることになる。

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